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  • 設計部の仕事 – CADを覚えよう

    2023/09/13 白石電機の仕事

    弊社では設計部人員にCAD用PCとしてワークステーションとデュアルモニタ環境、出張用にもモバイルワークステーションPCを支給しております。パソコン環境に関して弊社事業規模としてはかなり優れていると自負している次第です。他部署でもレッツノートを支給しておりますので、PC環境に関して不満に思われることは少ないでしょう!(ここはケチる経費を削減すべきところではないと考えています。)

    設計部に配属され、最初に覚えなければならないのが図面を描くことです。設計技術者としての道を進んでいくのであれば、弊社社員であろうとなかろうと必須の技術です。勿論、将来は弊社の技術者として活躍して貰うわけですが、その前に一人の技術者として成長する意欲を持って取り組んて頂きたいと思います。(他の業務についても同様です。)

    弊社設計部は常に10人前後在籍しておりますが、元から機械製図を習得している方は少数派であります。実は入社してから製図を覚えた者の方が多数派なので、未経験の方でも安心してください。

    CADとは?

    “Computer Aided Design” の略で「コンピュータを使った設計支援」という意味になりますが、ここではコンピュータを使った製図ということにしておきます。弊社では32年ほど前に最初のCADシステムを導入しました。それ以前は当たり前ですが、設計部全員ドラフターを使い、手描き図面を作成しておりました。しかしながら、弊社に残っていた最後のドラフターも数年前(10年前くらいでしたかね?)に処分したので、既に手描き図面を描く手段は残っておりません。残っていたトレーシングペーパーもほんの数日前に処分したところです。今どきの若い技術者はドラフターなど知らないかと思いましたが、学生時代には今でも勉強すると聞いたように思います。

    機械製図については、ググってみれば様々なサイトが出てくると思いますので、そちらを参照ください。「機械製図」でググってみた結果。

    まずは2次元

    現在は3次元CADもかなり普及してきております。弊社でも最終的には3次元CADをマスターして貰うわけですが、製作現場に渡す図面は今でも2次元図面が主流です。ですから、2次元CADを使う技術は必須となり、3次元はその次の段階になります。

    2次元図面

    当たり障りのない図面ですが、上に掲載している図が2次元図面になります。図面が設計者の言葉になり、図面中に各情報を入れてより良いものが出来上がる図面を作成したいものです。図面にも性格が現れるもので、荒い図面、緻密な図面、几帳面な図面、手抜き要領が良い図面など様々です。図面を見ることにより、占いなどよりも上手く描き手の性格を捉えることが出来るかもしれません😏

    ゆくゆくは3次元

    上の2次元図面は、下の3次元図を2次元に展開したものです。最初は上で紹介したような比較的簡単な2次元図面を練習がてらに描いていきます。異型煉瓦という特注煉瓦があるのですが、これを最初の練習台として描き、図面に慣れてもらうようにしています。(その時々により、練習台の図面は様々ですが。)

    3次元図面

    弊社のように工業炉を設計する場合、トップダウン設計をすることが多いと思います。トップダウン設計とは、全体的な構想図を検討・作成後に各セクションの詳細組立図を作成、部品図に展開していきます。各セクションの詳細設計が進むと同時に全体図にも反映され、完成していくのがトップダウン設計になります。

    例えばこんな感じ。下の3次元図は「おでん」の全体構想を終えたところです😏

    おでん

    ここから、各パーツを部品図に展開していくわけですね。こんにゃくには切込みを入れるのか否か、大根の角は面取りをした方が良いのだろうか🤔などと、検討を重ねて部品図を仕上げていきます。文字通りに煮詰めていけば、完成形が出来上がるわけです。

    2次元図面に慣れてきたら3次元といきたいところですが、2次元図面をマスターし、設計者としてある程度成長してくれば担当案件を抱えるようになってきます。そうすると、目の前に迫ってきている仕事を持ちながら3次元CADをマスターするということが、時間的に難しくなってくるのですよね。ついつい、手っ取り早く2次元で描いてしまおうとなりがちです😂

    2次元CADの描き方は手描き図面と概念的には同じような描き方ですが、3次元CADはちょいと違った描き方になるので、最初は取っ付き難い面があります。(私の年齢が高めだからかもしれませんが。)描いてしまえば2次元図面より楽な面もあり、CAM・CAEへの活用にも発展するのでマスターしましょう。というか、若い技術者であれば意地でもマスターしてください。


    上の図面(おでんより上のやつ。)はチェーンカバーなのですが、下の3D図面から切り出した部品図になります。このようなアセンブリ図を詳細設計の際に考えつつ描いていくことになります。

    3次元アセンブリ

    iCAD SXを使っています

    弊社ではiCAD SXというCADシステムを利用しています。弊社のような生産設備の設計に特化して開発されたCADになり、下記に特徴を引用しておきます。

    機械装置や生産設備に特化したCAD開発
    ■1980年代初頭から国産CADとして開発し続けています。
    ■機械装置や生産設備における問題解決に貢献すべく、開発元が毎年約5,000社の設計現場を訪問しています。
    ■QA対応や3次元データ活用へのご相談も開発元が直接ご対応します。
    引用元:COLMINA 設計製造支援iCAD SXについて

    上にも書きましたが、最初にCADを導入したのは32年ほど前、当時からICAD/SX(最初のIは大文字)を使っていました。当時はUNIXで動作するCADであったので、1台で1000万円ほどのとても高価な投資となりました。で、最初にICAD/SXで設計したのは社内テスト用のメッシュベルト炉であります。2台目もUNIX版を導入、この時は1台目の半額くらいでした。(もしかしたら、UNIX版を3台使っていたような気もしますが、うろ覚えです。)そして3台目からはパソコン版となります。Windows NTという懐かしいOSで動作するCADシステムです。最初はNT3.51、次いでNT4.0、それからWindows 2000, XP, 7, 10 となり、今に至ります。

    3Dライセンスも90年代から1ライセンスのみ所有しておりましたが、今のようにトップダウン設計に向いたものでもなかったと思います。モデリングのやり方も今とは違っていましたしね。

    そしていつのまにか、iCAD SX(最初のiは小文字)になっていました。最初のiが小文字と言えば、🍎製品が有名ですが、このiには「internet」の意味があるそうです。

    米国メディアのmashableが2016年に公開した記事によれば、「internet」の他にも「individual」(個人)「instruct」(指示、教える)「inform」(通知)などの意味を持っていたという。
    引用元:慣れ親しんだ「iPhone」の「i」どういう意味でつけられた?

    🍎製品よりもっと前に「ICAD SX」というネーミングにした「I」の意味を知りたかったり、いつの間にか小文字の「i」に替わっている理由を知りたかったりします。機会があれば、一度聞いてみよう!


    一番上の図面はこのブログを書くために何か適当にiCADで描いてみようと思い、作図したピラミッドです。(ただの巨大な四角錐ですが。。。)本来なら、一つ一つの石を積み上げ、内部の通路や部屋、空洞なども再現しなければなりません。それが仕事というのであればやりますが、ブログネタのためだけでは流石に描けません。なので四角錐で勘弁してください🙏(誰も頼んでないって😅)

    とは言ってもピラミッドの設計なんて、とんでもない技術が必要ですよね。どうやって造ったかも気になりますが、設計はどうしたのだろう?と疑問です。少しググってみたら、当時(4500年ほど前)は設計図といった概念は確立していなかっただろう。ということなので、まさかの現物合わせなのですかね。なんだか気になってしまったので、ピラミッドに関する電子書籍をポチってしまいました。(いつ読むねん?)

    なんと、ピラミッドの見積りをしているサイトを発見しました。

    このサイトによると、現代の技術でも工事期間は10年強のようです。ピラミッドは20年ほどで造られたと言われているようですが、「ほんまですか~?」

    こちらは少し古いですが、大林組による計画です。

    こちらにもどうやってこれだけ正確に積み上げることができたのか、専門家ほど驚く正確な完成度なのである。と書かれていますが、まともな設計図も無し(或いはあったのか?)にどうやって造ったのか不思議ですね。

    話がかなり脱線してしまいましたので、これで終わっておきます。

    中嶋


    白石電機工業株式会社では工業加熱炉(電気炉、燃焼炉)の設計・製作を行っており、設計技術者・CADオペレーターを目指していらっしゃる方を随時募集しております。